先日無事に当公演は終演しました。
会場を埋め尽くすほど多くのお客さまにお越しいただき、そして鈴木羊子さん、山本佳輝さんのお二人の素晴らしい演奏に包まれて、最後はすっかり感極まってしまいました。終演後のナビゲートでは、半分泣きながらお話しするようなことになってしまいましたが、それくらい私にとっても忘れがたい時間になりました。
今回の公演では、偉大なチェリストとして知られるカザルスの「作曲家」としてのもう一つの顔に光を当てたいと考えてきました。
若き日の《4つの無言歌》から、同じカタルーニャに生きたトルドラの《6つのソネット》、そしてカザルスが長い歳月をかけて書き続けた《ヴァイオリン・ソナタ》へ。
私たちはこの流れを、「歌」から「詩」、そして「祈り」へという一つの物語として組み立てました。
また、モンセラットに立つカザルス像のことや、カタルーニャという土地との結びつき、亡命後もカザルスが抱き続けた祖国への思い、そして平和への願いについても、これまで折々に紹介してきました。
そうした背景を知ることで、音楽が少し違って聴こえてくる。作品そのものだけではなく、その背後にある土地や歴史、人間の思いまで含めて皆さんと共有したい――それが、今回の企画で大切にしてきたことでした。
実際に会場で演奏を聴き、お客さまの反応にも触れていると、その狙いを少なからず皆さんと共有できたのではないかという実感がありました。それが何より嬉しかったです。
ご出演くださった鈴木羊子さん、山本佳輝さん。
会場まで足を運んでくださった大勢のお客さま。
そして今回はお越しいただくことができなくても、これまで投稿を読んでくださったり、応援の言葉を寄せてくださった皆さま。
本当にありがとうございました。
終演後には、いつもの通り、たくさんの温かいお声をいただきました。
ご来場くださったお客様の“生の声”を、許可をいただいたうえで以下にご紹介いたします。ぜひご覧ください。
忘れ難い演奏会の思い出を記します。
「作曲家カザルス もうひとつの肖像 詩と祈りのバルセロナ」と題したカザルス生誕百五十年の記念コンサート。
平日ながら昼夜公演とも完売という盛況。曲目は前半がカザルスの若書き「4つの無言歌」、カザルスの親友トルドラの「6つのソネット」、そして後半がカザルスの大作にして未完の「ヴァイオリンソナタ」。
演奏はVn山本佳輝、Pf鈴木洋子さん。
学生時代にカザルスの自伝を読み、カザルスがチェロの奏法の革新、演奏家の地位向上、作曲家への委嘱による創作活動の鼓舞、音楽祭の主宰といったスケールの大きな活動を展開したことを知った。
演奏家の地位向上のために、さまざまな音楽界の因習や偏見とも戦ったひとであることも。
その長く波乱に満ちた経歴の中でさまざまな演奏家や作曲家との温かい交流も描かれていた。
ヴァイオリンソナタを聴いていると、イザイ、ドビュッシー、プロコフィエフやバルトークといった、交流のあった同時代の作曲家の思い出を、カザルス自身が武骨な口ぶりで語っているような思いに襲われた。
初期のメンデルスゾーン風の小品からの遥かな音楽の旅路が、ソナタの終楽章で円環のように完結した素晴らしいプログラムだったと思う。知られざる大曲を説得力ある演奏に仕上げたお二人と主催者に大きな拍手を。
有難うございました。


