音楽は、記憶の奥に潜む風景をそっと映し出します。
それは、師から弟子へ、友から友へと受け継がれた響きの記憶。
フォーレの静謐な詩情、
ラヴェルを讃えたロラン=マニュエルのオマージュ(日本初演)、
そしてラヴェル自身の傑作《鏡》。
前半では、ラヴェルを中心に広がる人間関係と音楽的影響を辿りながら、
彼の芸術が育まれた豊かな土壌を描き出します。
後半には、ラヴェルの弦楽四重奏曲を、
親友ルシアン・ガルバンによるピアノソロ編曲版で――
ほとんど演奏されることのないこの貴重な作品を、
鏡のように繊細な音色で紡ぎます。
ラヴェルという一人の作曲家を、
その周囲に広がる人々の記憶とともに映し出すひととき。
倉田莉奈が、ピアノとともにその静かな旅へご案内します。