今回のリサイタルは、静かに心に触れる音楽から、次第に大きな広がりをもった世界へと進んでいくプログラムです。シューマンの親密な抒情、ベートーヴェン晩年の凝縮された響き、そしてリストの劇的でスケール豊かな音楽が、ひとつの午後のなかで自然につながり、それぞれの作品の魅力を引き立て合います。
どこか内省的でありながら、閉じた世界にとどまらず、最後には大きくひらかれた景色へとたどり着く――そんな時間になるでしょう。後半のシューマン《幻想曲》は、前半で育まれた気配を受けとめながら、より切実で大きな広がりをもった音楽として立ち上がります。スケールの大きな表現と繊細な陰影の両方をあわせ持つ鶴澤奏の演奏によって、それぞれの作品が新たな表情を見せるひとときとなるはずです。
