《オーヴェルニュの歌》で知られる作曲家、ジョゼフ・カントルーブ。
そして、フランス南西部ダクスに生まれた作曲家、ルネ・ド・カステラ。
二人の名は、日本ではまだ広く知られているとはいえません。けれどもその音楽には、パリを中心に語られがちなフランス音楽とは少し異なる、土地に根ざした深い詩情が息づいています。
カントルーブとカステラはいずれも、パリのスコラ・カントルムに連なる音楽家でした。年長のカステラに対し、カントルーブは後輩にあたり、そのつながりは作品の上にも刻まれています。
今回演奏するのは、日本音楽コンクール第1位をはじめ国内外で高い評価を受け、近年ますます注目を集めるヴァイオリニスト、栗原壱成。そして、バッハからフランス音楽、ベルギー音楽まで幅広いレパートリーを持ち、繊細な音色と構成力で信頼を集めるピアニスト、蓜島啓介。
この二人によって、カントルーブとカステラの知られざる作品世界を、やなか音楽ホールの親密な空間でじっくりと味わっていただきます。
フランス音楽というと、洗練された華やかさを思い浮かべる方も多いかもしれません。けれども、その少し外側には、土地に伝わる歌、言葉、風景、暮らしの記憶に耳を澄ませた作曲家たちがいました。
山の空気、遠くから聞こえる歌、光の移ろい、どこか懐かしい風景。
カントルーブとカステラの音楽には、そうした土地の奥に残る記憶を、そっとすくい上げるような響きがあります。
知らない曲なのに、どこか懐かしい。
遠い土地の音楽でありながら、静かに心の奥へ触れてくる。
フランス南方に息づく土地の歌と記憶を、ヴァイオリンとピアノでたどる午後。
まだ広く知られていないフランス音楽の魅力に出会う、親密で詩情豊かなひとときをお届けします。
