バッハの厳格な対位法、ベートーヴェン晩年に見られる精神的な構築性、そしてメンデルスゾーンによる旋律の抒情化。
対位法とは、単なる技法ではなく、音楽そのものの“在り方”に関わる深い問いです。
このリサイタルでは、バッハ、ベートーヴェン、メンデルスゾーンという三人の作曲家の作品を通じて、その系譜をひとつの流れとしてたどっていきます。

中心となるのは、演奏機会の少ないメンデルスゾーン《6つの前奏曲とフーガ》Op.35 全曲。
構造の精緻さと旋律の豊かさを併せ持つこの作品は、バッハへの敬意とロマン派の精神が交差する、まさに「構築と抒情」の象徴ともいえる傑作です。

この挑戦に臨むのは、大瀧拓哉。
現代音楽と古典の両領域で活動を展開し、確かな構成力と鋭い感性で注目を集めるピアニストです。

厳密な様式と繊細な詩情が共存する音楽の道行き。
その響きに、耳と心を澄ませていただけたら幸いです。