心はときに、記憶のなかをさまよい、
音楽はその旅路をそっと照らします。
ルネサンスの静かな祈りから、
バッハの別れのカプリッチョ、ブラームス晩年の内省、
メンデルスゾーンが異国の風景に託した幻想、
そしてシューベルトの「さすらい人」が辿る果てなき問いかけまで――
時代も土地も異なる作曲家たちが、それぞれのかたちで紡いだ「幻想曲」には、
いつの時代にも変わらぬ人間の感情――別れ、追憶、夢、彷徨――が息づいています。
音楽に導かれて、記憶と幻想が交差するひととき。
鶴澤奏が、ピアノとともにその静かな旅へご案内します。