おかげさまで「詩人ピエール・ド・ロンサールに捧げる8つの歌曲集 」 無事に終了しました。
ご来場いただいたお客さま、そして応援いただきました皆さま、本当にありがとうございました!
生誕500年のロンサールを振り返り、100年振りの「ロンサールの墓」の全曲演奏、
今回もまた貴重でとても意義あるイベントだったと思います。
おいでいただきましたお客さまの生の声を、許可をいただき、ここに転載します。ぜひご覧ください。
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11/24 (日)に『Pierre de Ronsard生誕500年記念 詩人ピエール・ド・ロンサールに捧げる8つの歌曲集』を聴きに行った。
これが非常に意欲的なものだったので、ここでぜひご紹介したい。
ルネサンス期に活躍した詩人Pierre de Ronsard (1524-1585)は、その生誕400年だった1924年にフランスで再評価され、ある音楽雑誌の発案でラヴェルをはじめとする8人の作曲家がその詩に曲を書いて歌曲集が編纂された。
今年はそれからちょうど100年。今度は(なぜか)東京で生誕500年を記念してロンサールを振り返り、歌曲集を全曲演奏するコンサートをやろうというのがこの企画の趣旨。
しかもこのコンサートは音楽だけではなく、フランスに精通した文学者とピアニストによる対談、内容の濃いブックレットの発行、それにコンサート後のささやかなパーティでの交流まで用意された、非常に意欲的なものだった。
音楽と文学、ルネサンスと近現代、フランスと日本、まさにジャンルや時空を超えた知的な時間を過ごすことができた。
真に教養のある人というのは、概してジャンルや時代を超えた議論ができるものだが、芸術・学術にかかわらずあらゆる分野で細分化が進んでいる現在、そういったジャンル横断的な催しや議論の場は決して多くない。
だからこそ、このコンサートには大きな意味があった。
コンサートはまず菅野潤氏によるエラールのピアノ(平行弦!!)によるドビュッシー『花火』他の独奏からはじまり、会場が一気にフランスの空気になったところで、続いてはプルースト『失われた時を求めて』の翻訳で知られる高遠弘美氏とパリを拠点に活躍するピアニスト菅野潤氏による対談。
100年前のヨーロッパは過去の偉大な詩人や音楽家が「再発見」された時期であったことが指摘され、『詩人ピエール・ド・ロンサールに捧げる8つの歌曲集』が生まれる背景が解説された。また、ロンサールの詩のいくつかが、フランス語が堪能な菅野氏によるフランス語と高遠氏による翻訳で朗読されたのも、演奏される歌曲の理解を深める粋なはからいだった。
休憩後はいよいよ『8つの歌曲集』の演奏。
これらの各曲はラヴェルやオネゲルなど当時の作曲家が1曲ずつ提供しており、歌手はテノールとソプラノ、楽器はピアノ、フルート、ハープが使用された。
詩が長いものではないので曲はいずれも小品で、音楽にはルネサンス時代のものを参照している感じはなく、大戦間期ヨーロッパ特有のけだるい気分が醸し出されているように私には感じられた。
現代は音楽が作曲家に紐づけられて聴かれることが多いが、ここではあくまで100年前にひとつのテーマで各作曲家に委嘱された8曲を一気に聴くということに大きな意味があったように思う。
今回のコンサート会場は「いずるば」という田園調布・さくら坂を上がったあたりにある個人宅のホール。現代版のサロンといった雰囲気で今回のコンサートにふさわしい選択だったと思う。
このコンサートの実現に際しては、今回の出演者、エラールピアノのオーナー、会場の「いずるば」オーナー、ブックレット内論文の筆者など、多くの分野の人たちの賛同による協力があったとのこと。
今回のコンサートを成功させたみのりの眼とその協力者のみなさんに大きな拍手を送りたい。