みのりの眼

ルネ・ド・カステラ 生誕150周年記念 vol.1(2023.9.30)

カステラってお菓子のあれ?
いえ、さまざまな素敵な作品を残した作曲家の名です。

あのアルベニスの弟子であり、親友でもあったカステラ。エレガントで優美な旋律と、詩情に溢れた音楽は唯一無二のものですが、まだまだ知られていません。
同じ地方の盟友セヴラックら、彼を囲んだ作曲家の作品とあわせて聴いてみましょう。
新たな喜びがきっと見つかります。

vol.1 では、カステラの名作、フルート、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための「コンセール」のほかさまざまな編成の作品をあつめて、、セヴラック、ルーセル、ラヴェルの作品とともにお送りいたします。

【プログラム】
・セヴラック 「セレの思い出」、「ミニョネタ」(ともにヴァイオリンとピアノ)
・ルーセル「笛吹きたち」(フルートとピアノ)
・ラヴェル「ハバネラ形式のヴォカリーズ(フルートとピアノ)
・ラヴェル「マダガスカル島民の歌」(テノール、フルート、チェロ、ピアノ)
・カステラ「感傷的な対話」(テノールとピアノ)
・カステラ「3つの歌」(テノールとピアノ)
・カステラ「シシリエンヌ」(チェロとピアノ)
・カステラ「コンセール」(フルート、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)

【出演者】
・金沢青児(テノール)
・大塚茜(フルート)
・ヤンネ舘野(ヴァイオリン)
・鈴木皓矢(チェロ)
・蓜島啓介(ピアノ)

全席自由 各回 一般:4,500円/ 学生:3,000円/ ペア:8,000円
11/23との2回通し券 一般:8,000円/ 学生:5,000円/ ペア:15,000円

日程:2023.9.30(土) 14:00開演(13:30開場)
場所:鶴見サルビアホール音楽ホール

 

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徳永真一郎 & 松田弦 ギターリサイタル「在りし日の歌」

『徳永真一郎 & 松田弦 ギターリサイタル 〜在りし日の歌〜』、昨日たくさんのお客さまをお迎えして無事終了しました!いらっしゃっていただいたお客さま、どうもありがとうございました😊

昨年に引き続きこの素晴らしい響きのサルビアホール音楽ホールでの開催でしたが、今回もまたお2人は素晴らしい演奏を聞かせてくださいました。2人のそれぞれの個性が高いレベルで絶妙に絡み合い調和し、相乗効果が充分に働いていて、全ての音に命が宿っていました。

ギターの特性を知り尽くした、自身最高のギタリスト鈴木大介さんの編曲による2曲はもちろん、原曲はピアノ曲であるシューマン「子供の情景」も、ピアノ演奏に負けない隅々まで意識が行き届いた作品のポテンシャルが充分に表現されていました。

そしてセルジオ・アサドの組曲「夏の庭」全曲!
昨年のコンサートの打ち上げで、来年はこれをやろう!と自然と皆で湧き上がったアイデアでした。それがこれほどのハイクオリティな演奏で実現されたことに企画制作者としても本当にうれしかったです。たくさん集まったアンケートでもほとんどのお客さまがこの曲の演奏が特に印象に残ったようでした。それは終演後の割れんばかりの拍手喝采にも現れていました。

アンコールは新進気鋭の作曲家、松﨑国生さんによる、このコンサートのために編曲された名曲「スタンド・バイ・ミー」。本編のプログラムのテーマの流れにも沿って、しかしアンコールに相応しいジャズっぽいノリのよい音楽は自然にリラックスし身体も揺れるもので、お客さまも心地よく感じていただけたのではないかと思います。(期間限定で「みのりの眼」公式ページで公開できたらと思っています。改めてご案内します。)

この2人のデュオ、恒例のコンサートとして、来年もまたこの時期に行う予定です。ここでしか聞けない内容を用意してお待ちしております。今回ご来場できなかった方もぜひ来年はいらしてください!

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徳永真一郎&松田弦 ギターリサイタル「在りし日の歌」(2023.8.26)

昨年に引き続き今年もこの実力派ギタリスト2人のデュオ・コンサートを開催します。

しかも今年のメインは、傑作&難曲のセルジオ・アサドによる組曲『夏の庭』全曲です!

相米慎二監督の同名映画のサウンドトラックとして作曲されたこの作品は、映画の世界をさらに高めていましたが、音楽単体で聴いてもとても聞き応えがあります。

その他、シューマン『子供の情景』、武満徹『どですかでん』、モリコーネ『ニュー・シネマ・パラダイス』と、どれもかつてあった風景を思い起こさせる作品を集めました。

静の徳永さんと動の松田さんと言ったら、実はその風貌の話でしかなく、それぞれの音楽を正しく表してはいませんが、それでもお互いの異なるキャラクターが重なると、相乗効果でその世界が格段に豊かになる様は見ていて圧倒されます。

ギターファンはもちろん、音楽ファンであれば聴いて損はありません!それどころか普段音楽を聞かない人にもオススメできます。

是非是非いらしてください!

【プログラム】
・武満徹/鈴木大介編:どてすかでん
・シューマン/柴田健編:子供の情景
・モリコーネ/鈴木大介編:ニュー・シネマ・パラダイス
・セルジオ・アサド:組曲「夏の庭」

入場料:全席自由4,500円(ペア8,000円)

日時:8月26日(土) 午後2時開演
場所:横浜鶴見区民文化センターサルビアホール音楽ホール

ご予約・お問い合わせ:みのりの眼
①お名前、②人数、③お電話番号をお知らせください。折り返し予約完了のメールをお送りします。
なお、本公演は当日受付で現金での入場料の精算をお願いしています。

 

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七條恵子 フォルテピアノリサイタル

久しぶりに凄いものを聴いてしまった。
CDでは聴いていた音楽家、七條恵子さんのフォルテピアノのリサイタルだ。
改めて生と録音とでは天と地ほど違うことを思い知らされた。
 
使用楽器は、かつて僕にフォルテピアノの魅力を教えてくれた、今は亡き小島芳子さんの形見とも言うべき名器。
僕もかつて何度か聴いたはずだが、当たり前だけれど扱う人が変われば鳴る音も変わる。
記憶力には全く自信がないが、それでも今回初めてこの楽器の新たな魅力を発見した思いがした。
 
それを引き出した七條さんの演奏はまさに天才のそれというべきもの。
溢れ出るイメージに従い、繊細さも兼ね備えつつ自在に進んでいくそれは一回性そのもので、きっと同プロのこの後2回のリサイタルでの演奏はまた全く違うものになるだろう。
しかしそこに恣意性は全く感じられない。
これこそ音楽の真髄、表現の理想だと思う。
 
しかしそれだけこちらの感覚にビシビシくる並外れた集中力で演奏に向かうも、不思議とこちらに緊張を強いることはない。
むしろ聴いてる僕らも連れて飛び立つような軽やかさがひたすら心地よかった。
いやぁ、これやっぱり同プロの別公演聴きたいよ。
そんなことを強く思わせるコンサートだった。
 
文責:山田満

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倉田莉奈 コンセプチュアル・リサイタル vol.4 レポート

人にはその人が存在するだけで発生してる、何か渦のようなものがあり、それが大きくて強いと、他者をも巻き込む影響があるのではないかと思う。
その渦が持つ質と力はまた別物で、どんなに良質でも訴求力の弱いもの、強力でもなんだか下品で俗っぽいとか、そんな感じで。

倉田さんの演奏会は回を重ねる毎に、どんどんとその渦の強さが増している。
彼女の持つセンスの良さ、ハウブロウな趣味と繊細さ。
むしろそれが仇となって、聴く人を選び、多くの人にはその良さが伝わりにくいのではないかという危惧は杞憂だった。

クープランもバッハもそんな力強さを持って始まる。
グラナドスの『アンダルーサ』は個人的に子供の頃から大好きな曲。
激情のまま突っ走る主題にくらべて、優しく甘い中間部を退屈に感じることも多い曲だけれども、彼女の演奏だとここが一番輝く。
なんと優しく繊細な。

そこで潮目が変わり、おそらく彼女の持つ良い資質が最も発揮される繊細でアンニュイな曲が続く。
ドラージュの『夏』にはフランス語の歌も入るのだけれど、力みなく自然で、私にはブリジット・フォンテーヌの『ラジオのように』を思い起こさせた。
自然の風や細波のように、あるべくして生まれて、そして流れて消えてゆく。

この日の2度目の潮目の変化はブラームスだろう。
流暢にフランス語を話す人のドイツ語。
違う言語を話すことを意識するのと同じで、ピアノの音も表現もはっきりと変化する。
そしてこの日の山のシューベルトのソナタ。

アンコールの坂本龍一では再び歌が。
ジブリ映画で宮崎駿は、専業声優の媚びた感じを嫌い、俳優を声優として採用するという話を思い出した。
倉田さんの歌には専業歌手が持つ力みがなくて、自然で美しい。
そんな魅力がある。

いつもながら選曲と曲順が一つの優れたアートになっている。
どんな曲であろうとも、たった一音が鳴っただけで聴く人を魅了し、その一瞬から惹きつけて止まない演奏家も、過去や未来、世界のどこかにはいるだろう。
だけれども、コンサート全体のコンセプトや構成、その流れと演出、演奏者の持つ資質をフルに活かす表現芸術であること。
それをここまでの完成度でプロデュース出来る演奏家は、そうはいないのではないかと思っている。

文責:前原麗子

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トマシュ・リッテル ピアノ・リサイタル

トマシュ・リッテルという名前よりも、きっと「川口成彦が2位だったショパンコンクールで1位をとったピアニスト」という方が通りが良いでしょう。
現に私もそうでした。
アー写ではいかにも今風の「成功した」美男美女風に撮られてしまっているけれど、実際にステージに現れた彼は違う。
「やあやあ、みなさん、本日のスターが登場しましたよ!」とばかりに拍手クレクレと登場する芸人や芸能人のような奏者も多い中で、彼は完全にオーラを消して現れ、まるで機械の修理に来たエンジニアのような雰囲気で、客など存在しないかのように気負いなく自然に弾き始める。
リッテルの師でもあるリュビモフの、クルクルと動き回りパタリと眠る多動の子供のようなモーツァルトを知っていると、少し動きが緩慢で重い気もしてしまうけれど、それは解釈や技術の問題ではなく、奏者と作曲家の気質の違いのように思う。
リュビモフの資質がモーツァルトに合致しすぎていたからかとも。
ベートーヴェンもショパンも素晴らしい。
これは個人的な受け取り方に過ぎないけれども、ショパンをただ感傷的に甘ったるく甘美にだけ弾かれることも多い中、私にはショパンの曲とは、この世に閉じ込められて出られない絶望と諦観の音楽のように感じられていました。
この世はろくでもない牢獄でもあるけれど、だからこそ、諦めて美しい良い面に目を向けて前向きに強く生きなくては!という気にさせる奏者も稀にはいます。
でもリッテルの『24の前奏曲』はそれ以上でした。
突然ですが『トゥルーマン・ショー』という映画をご存知でしょうか。
主人公が虚構の世界に気付き、全力でそこからの脱出を試みるという物語。
リッテルの『24の前奏曲』からは、そんな気概が感じられて、おそらくショパン自身が初期設定した世界観からも先に進めてしまっているのではないかと。
諦めて安住するのではなく、立ち向かう音楽に、思わず落涙。
「私の解釈」「私の音楽」それを認められたいがために必死で努力し、そうなった暁が夢であり成功であるという人も多いでしょう。
個人が社会的な地位を得るための手段としての音楽、それはエゴの音楽でもあり、小さな小さなごく個人的な音楽です。
そういうものを聴いていると、逆に何かを奪われるようだといつも思います。
「私が輝きたい」「私がスポットライトを浴びたい」、そのための外部装置にさせられてしまうんです。
リッテルはまずは作曲家に、次に音楽に、そして音楽の背後にある大いなるものに。
それらのために全力を尽くした後に全てを明け渡し、良き霊感を待つ音楽でした。
持ち上げられたスターと、その持ち上げ要員としての観客、という役割を強要されていると感じることがままあります。
教祖がいて信者がいて、その依存関係のためにお金を介す宗教団体化してしまう。
でもこんな音楽の前では、そのようなくだらない既存の枠組みが崩壊してしまう。
個人崇拝ではなく、一人一人が自らの足で立ち、大いなるものに個人でつながることが可能になってしまうから。
そんな解放の音楽でした。
素晴らしい。

文責:前原麗子

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倉田莉奈 コンセプチュアル・リサイタル vol.4「旅路」(2023.6.14)

毎回定めるテーマに従ったメインの作品、そしてそこへと至る前奏曲のように並べられた小品たち。それらを連続してピアニスト倉田莉奈が一気に演奏する、他にはないリサイタルシリーズ。

その4回目となる今回のテーマは「旅路」、メイン曲はシューベルトの残した最後のソナタ、その他クープラン、グラナドス、ドラージュ、ベリオ、ブラームスなどの小品で構成されたプログラムです。

70分間聴き続けたときにあなたの心に湧き上がるものは一体?ぜひ体験しにいらしてください!

【プログラム】
・クープラン : クラヴサン曲集より「シテール島の鐘」
・バッハ:フランス組曲第6番より「クーラント」
・グラナドス : スペイン舞曲集より「アンダルーサ(祈り)」
・ドビュッシー : 前奏曲集より「アナカプリの丘」
・ドラージュ : 7つの俳諧より第7番「夏」
・木下牧子 : 9つのプレリュードより第2番
・ベリオ : 6つのアンコールより第3番「水のピアノ」
・ブラームス : 間奏曲作品117-2
・シューベルト : ピアノソナタ第21番 D.960

全席自由 一般4,000円/ 学生2,000円/ リピとも割

日程:2023.6.14(水) 19:00開演(18:30開場)

場所:鶴見サルビアホール音楽ホール

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加藤訓子 ソロリサイタルシリーズ vol.1(2023.3.17)

<プログラム>
1 バッハ  平均律クラヴィーア組曲 第1番 前奏曲
2 ライヒ  ニューヨーク・カウンターポイント
3 ライヒ  シックス・マリンバ・カウンターポイント
4 ライヒ  ナゴヤ・マリンバ

5 バッハ  リュート組曲
6 ペルト  カントゥス ~ ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌
7 バッハ  無伴奏チェロ組曲 第5番 前奏曲
8 ペルト  フラトレス
9 ディヴィス  パール・グラウンド
10 ペルト  鏡の中の鏡

<演奏者>
加藤訓子

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吉本梨乃 室内楽の夕べ&サロンコンサート(2023.3.10 & 12)

室内楽の夕べ(3/10)

<プログラム>
1 ハイドン ピアノ三重奏曲 第39番 ト長調「ジプシー風」
2 シューベルト ヴァイオリン・ソナタ イ長調「Grand Duo」
3 パガニーニ 「虚ろな心(ネルコルピウノンミセント)」による序奏と変奏曲
4 ブラームス ピアノ三重奏曲 第1番

<演奏者>
吉本梨乃(vn)
富岡廉太郎(vc)
松岡美絵(pf)

サロン・コンサート(3/12)

昼の部:オール無伴奏プログラム

<プログラム>
1 J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番
2 パガニーニ 『24のカプリース』より第24番、第17番
3 J.S.バッハ 『無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番』より「シャコンヌ」
4 パガニーニ 「虚ろな心(ネルコルピウノンミセント)」による序奏と変奏曲
5 クライスラー レチタティーヴォとスケルツォ
6 イザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番「バラード」

夜の部:フリッツ・クライスラー・プログラム

<プログラム>
1 ウィーン奇想曲
2 レチタティーヴォとスケルツォ
3 中国の太鼓
4 プニャーニ様式による前奏曲とアレグロ
5 ラ・カンパネラ(パガニーニ作曲、クライスラー編曲)
6 オペラ『オルフェオとエウリディーチェ』より「メロディ」(グルック作曲、クライスラー編曲)
7 ヴァイオリンソナタ「悪魔のトリル」(タルティーニ作曲、クライスラー編曲)

<出演者>
吉本梨乃(vn)
松岡美絵(pf)

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ルネ・ド・カステラについて(2)

凱旋門の近く、シャンゼリゼ大通りから一本裏にあるシャンゼリゼ劇場、その内部装飾を任されたひとりにモーリス・ドニがいました。そして彼は天井画を描いたのですが、そこにはなんとピアノを弾くブランシュ・セルヴァと譜めくりをするルネ・ド・カステラが登場しています。

私は今回カステラの生誕150年にちなんだコンサートをするにあたって、いろいろ調べているうちにこのことを知ったのですが、いざこの絵を見た時に「おや?この絵には見覚えがある…」と感じました。なんてことはない、カステラの孫たちが書いたカステラの評伝の表紙にこの絵は使われていたのです。ちゃんと表紙裏のキャプションを見ていればそのこともとっくに知っていたのでしょうが。

まぁそれはともかく、モーリス・ドニとスコラ・カントルムの音楽家たちの交友についてはよく知られていますが、そうでなくともセルヴァとカステラがパリ中心の劇場の天井に描かれているというのは、当時の存在の大きさを示していると感じざるを得ません。

セルヴァはリカルド・ヴィエニスと並んで当時の重要な二大ピアニストのうちのひとりだから何をか言わんやですが、カステラも実は当時のパリの音楽家たちの中心にいたと言っても過言ではありません。というのも、前にも書いた通り、彼はさまざまなサロンやコンサートといった集まりに足繁く通ったり、スコラ・カントルムで卒業後もその秘書として働いたりすることで、当時パリにいたほとんど全ての音楽家と繋がりを持っていましたし、楽譜出版社を設立し、音楽家たちが自らの譜面を出版しやすい状況を作ったからです。

つまりカステラもまたこのシャンゼリゼ劇場の天井に描かれるに相応しい、フランス音楽への大きな貢献を果たしたのです。だからこそ、その美しく優雅な作品とともに今再び評価すべき人だと僕は確信しています。

さてひとつ謎が残っていて、それはこのヴァイオリンを弾いている女性は誰かということです。これは明らかにされていないので推測するしかないのですが、ノエラ・クジンではないかと言われています。

ノエラ・クーザン。同い年のガストン・プーレ宛に、ピアノとヴァイオリンのためのソナタを書き捧げた年にドビュッシーが書き送った手紙にも言及されてるそうです。彼はベレー帽かぶって妙に元気な彼女をみて音楽がわかるのか訝しがったそうですが、翌年彼女はバイヨンヌやポーでドビュッシーの当該ソナタを弾いたそう。またクライスラーによる擬古作風のバロック作品も鮮やかに弾いたそうです。

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