みのりの眼

フランス近代音楽に流れるシューマンのポエジー レポート

おかげさまで「フォーレとサン=サーンス ~フランス近代音楽に流れるシューマンのポエジー~」 無事に終了しました。

ご来場いただいたお客さま、そして応援いただきました皆さま、本当にありがとうございました!

知られざる名曲の数々が素晴らしい音楽家たちによって演奏される貴重な演奏会だったと思います。

おいでいただきましたお客さまの生の声を、許可をいただき、ここに転載します。ぜひご覧ください。

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5月29日は、五反田文化センターにて、「フォーレとサン=サーンス フランス近代音楽に流れるシューマンのポエジー」と題されたコンサートに行きました。ここのところ、フランスづいております😊

下記のプログラムは中々マニアックですが、これは何としても聴かなければなるまい!と思わせるものがありました。

シューマン カノン形式の6つの練習曲
フォーレ ピアノ三重奏曲

シューマン 民謡風組曲より第3曲
サン=サーンス トリプティークより第1曲
サン=サーンス ピアノ三重奏曲第2番 

 

最初のシューマンは、足鍵盤付きピアノのために作曲されたのをピアノ三重奏に編曲したものとのこと。
原曲も全く聴いたことがありませんでしたが、カノンによる練習曲などというと、対位法を駆使した難解な作品かと思ったら、ロマンの香り高い、シューマンならではの作風で一安心。
この編曲により、ヴァイオリン、チェロ、ピアノが音域を変えながら明瞭に旋律をなぞることとなり、下世話な例えながら、あたかも男女の親密な語らいの様々なありようを聴くようで、原曲よりもロマンチックな雰囲気がより一層濃厚に感じられたのではないかと思いました。魅力的な作品、演奏だったですね。

 

フォーレの作品は、どれを聴いても、現実を遊離した高雅な雰囲気を感じさせてくれますが、晩年のこの作品は、甘美さよりも厳粛さが際立ち、一層孤高の美しさを湛えているように感じます。
今回の演奏は、それでも、厳しさよりは労わるような優しさと、さらには逞しさも感じさせる美しい演奏だったと思います。
いずれにしても、やはり、フォーレはいいですね!

 

後半は、二重奏による小品を2曲の後、サン=サーンスの殆ど知られていない三重奏曲でしたが、これは素晴らしかったです!
5楽章という当時の室内楽では珍しい構成で、緩徐楽章を真ん中に置いたシンメトリー構成は、まるでバルトークみたいです。
冒頭の激しいピアノに乗せられた弦のメロディから、これは!と思わせるものがありました。
熱いパッションと憧れに満ちた第1楽章、スケルツォないし舞曲的な第2、第4楽章に挟まれた第3楽章は夢見るように美しく、終楽章ではフーガも用いられ、全曲を通じ、全くダレることなく終始魅力的な楽想が連続する傑作だと思います。
ヤンネ 舘野、鈴木 皓矢、鶴澤 奏の3人による演奏はこの作品においても見事でした!

 

この日のコンサートは、シューマンに始まりましたが、ドイツならではと思われるシューマンのロマンティシズムですが、フランス人にとってもその魅力には抗し難いものがあったのかと思います。ドビュッシーのように敢えてアンチワグネリズムを実践しながらもドイツを意識しないではいられなかったように、フランス音楽界に対するドイツロマンティシズムの影響は大きく、フォーレにもサン=サーンスにも、確かに共通するポエジーが感じられたように思います。

 

意義深いコンサートでした。